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Channel: Manaboo 電子政府・電子申請コラム 
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つぶやき電子政府情報(2014年6月25日):電子政府調査でわかる、デジタル社会に向けたEUの本気度

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UN E-Government Survey 2014
http://unpan3.un.org/egovkb/Reports/UN-E-Government-Survey-2014
2年ぶりに国連の電子政府ランキング2014が公表。日本は、前回の18位から6位へと大躍進しています。

副題は「E-Government for the Future We Want」。前回も、「持続可能性」がキーワードの一つになっていましたが、「目指すべき国の形」あっての電子政府であり、国としてのポリシーや方向性に合致した(カスタマイズした)電子政府が必要ということでしょう。

国連加盟の193国を対象とする電子政府調査は、国連という組織の性質上、ランキングの変動について、外交的なアプローチが重要であることは、多くの関係者が認識していることと思います。英語による情報を発信し続けて、「日本はこんな電子政府施策を実行して、こんな成果が上がっていますよ」「他の国には無い、こんな取組みがありますよ」と、積極的に「売り込み」をしかけていくことが必要になります。

日本の電子政府ベンダーが、生き残りをかけて、世界に公共サービスソリューションを売り込んでいく必要性が高まる中で、「国連ランキングで日本は6位」という肩書きはプラスになることでしょう。

今回のランキングでは、上位を占めていた欧州勢がランクダウンして、アジア・オセアニア勢が、実にベスト10の半分を占めるに至っています。国連におけるアジア地域の位置づけとも関係がありそうです。

電子政府で求められる改革に必要な、効率性、有効性(効果)、透明性、アカウンタビリティ(説明責任)、公共サービスへのアクセス、市民参加といった要素の中で、日本に足りない部分は、まだまだたくさんあります。その意味では、「国連ランキング6位」に対して、電子政府関係者だけでなく、多くの国民が違和感を覚えるかもしれません。

電子政府関係者は、引き続き、対外的なPRを続けていくと共に、多くの国民が電子政府の利便性を実感できるように、「国連ランキング6位」に恥じないサービスを作り提供していくことが求められます。

例えば、「国連ランキング6位」の日本で、次のような実態が放置されているのは異常です。

始まる10%以上がコストの「子育て世帯臨時特例給付金」申請 --- おときた 駿
http://agora-web.jp/archives/1600192.html
商取引と同様に、デジタル社会における国民・住民と政府・地方自治体との「取引コスト」を最小化することが大切なのですが、日本はここに手を付けずにいます。   電子政府先進国では、連絡・通知は電子メールや電子私書箱を使い、公的な支給については住民登録とリンクした専用口座へ振り込めば終わりです。役所同士で情報共有・連携しているので、対象者からの申請を待たずに自動処理で支給することも可能です。   電子政府に何十兆円もかけてきたのに、給付金の事務処理だけで何百億円も使っていることを、日本は恥ずかしいと思わなければいけません。


時期を同じくして、EUのデジタル指数と電子政府報告書も公開されました。

The EU 2014 Digital Scoreboard: how did you fare?
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-14-609_en.htm  

EU eGovernment Report 2014 shows that usability of online public services is improving, but not fast
https://ec.europa.eu/digital-agenda/en/news/eu-egovernment-report-2014-shows-usability-online-public-services-improving-not-fast
ユーザ中心主義、透明性、国境を越えた移動性、主要な成功要因といった視点でまとめています。生データが公開されていることもポイントです。  

現在のEUの電子政府は、EU成長戦略2020(Europe 2020 initiative)、EUデジタル化計画(Digital Agenda for Europe)、各国の電子政府(デジタル政府)に関する基本戦略、各分野の個別施策・アクションプランといった階層で進められています。

Europe 2020 -- Europe's growth strategy - European Commission
http://ec.europa.eu/europe2020/index_en.htm
Digital Agenda for Europe - European Commission
http://ec.europa.eu/digital-agenda/

北欧諸国やオランダ、エストニアといった国々では、日本がマイナンバー制度を活用してこれから目指そうとしている電子政府サービスを実現して、多くの国民に利用・支持されています。しかし、オンライン公共サービスより、民間サービスの方が優れており、政府の改善スピードが遅いとも思われているようです。

そうした事情を踏まえても、EUの共同体としての電子政府への取組みは、優れている面が多いと感じます。

国連の電子政府調査が、「世界における電子政府の進捗状況の紹介」に留まっているのに対して、EUの電子政府調査は、EUとしての競争力強化を目指して、次のステップへ進むために、異なる事情を抱える各加盟国が、これから何をしていけば良いのかを考え提案し実施させるために行われています。つまり、「調査のための調査」で終わっていないのです。

国連ランキングが政治的な要素が大きいのに対して、EUの電子政府ベンチマークは、より実践的なアプローチと言えるでしょう。

下記で紹介する日本政府の新しいIT戦略でも、電子政府関連の施策がたくさんあります。3-5年後に、日本の電子政府が国の競争力を高め(少なくとも民間の足を引っ張ることなく)、国民が暮らしの中で電子政府の恩恵を実感できるようになっていることを祈ります。  
「世界最先端IT国家創造宣言」の改定が閣議決定(PDF) 平成26年6月24日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou1.pdf
世界最先端IT国家創造宣言(PDF) 平成26年6月24日改定
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou2.pdf
今後は、全ての行政サービスが電子的に受けられることを原則とし、クラウド及び番号制度の徹底活用により、電子行政サービスが、ワンストップで誰でもどこでもいつでもどんな端末でも受けられる「便利なくらし」社会を実現する。

世界最先端IT国家創造宣言 工程表(PDF) 平成26年6月24日改定
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou3.pdf
暮らしに係る公的サービス及び国家資格等の資格の証明に係るカード類(健康保険証、各種国家資格等資格証明書、国家公務員身分証明書等)について、個人番号カードへの一元化に向けた検討を行い、2016 年1 月の交付開始以降、順次、一元化を行うとともに、印鑑証明カードや施設利用カード等の個人番号カードへの一体化等、市町村による独自利用を推進する。
国・地方公共団体が法人に係る情報を公開する際の法人番号の併記及び所要の関連手続きの見直しを進め、2018年1月以降、原則、法人に係る情報を公開する際には法人番号を併記する。2017年1月より「法人ポータル(仮称)」の運用を開始し、国・地方公共団体等の既存の法人情報サイトとの連携を拡大する。       高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(第65回)
平成26年6月24日(持回り開催)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai65/gijisidai.html
「世界最先端IT国家創造宣言」及び同「工程表」改定、パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱、内閣情報通信政策監をもって充てる本部員への事務の委任、eガバメント閣僚会議など。  

パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱について(PDF)
平成26年6月24日決定 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou5.pdf
制度改正の趣旨、制度改正内容の基本的な枠組み、目的・基本理念、パーソナルデータの利活用を促進するための枠組みの導入等、基本的な制度の枠組みとこれを補完する民間の自主的な取組の活用、第三者機関の体制整備等による実効性ある制度執行の確保、グローバル化への対応、その他の制度改正事項、継続的な検討課題など。

内閣情報通信政策監をもって充てる本部員への事務の委任について(PDF)
平成26年6月24日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou4.pdf
世界最先端IT国家創造宣言(IT戦略)における政府CIOの役割が再確認されました。
関連>>eガバメント閣僚会議の開催について(PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou6.pdf
世界最先端のIT国家実現を目指し、行政のIT化と業務改革の同時・一体的改革を機動かつ強力に進めることを目的に開催。内閣官房長官を議長として、関係閣僚と政府CIOが参加。

マイナンバー法施行令のポイントと概要資料(PDF) 平成26年6月13日
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/sekoureipoint.pdf
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/sekoureigaiyou.pdf
各一枚の資料で、ポイントを簡潔に説明。わかりやすくて助かりますが、一度は条文をしっかり読み解きたいところ。

国民の皆様から「マイナンバー広報用ロゴマーク」の愛称を募集します
平成26年6月20日 内閣府大臣官房番号制度担当室、内閣官房社会保障改革担当室
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/logo/koubo.html
マイナンバーの広報用ロゴマークに使用されているウサギのキャラクターの愛称の公募を実施。締切は7月21日(郵送は22日必着)。マイナンバーの広報用ロゴマークのキャラクターとしてふさわしい愛称であること、老若男女を問わず誰からも親しまれる愛称であることの2点がポイントのようです。採用されると、表彰状・記念品の贈呈があるそうですが、何がもらえるのかな。やはりここは、キッス大先生にならって「地獄のウサギ軍団(1羽だけど)」でお願いします。

“番号ウサギ”はマイナンバーの「今」と「次」の課題を跳び越えられるか
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20140619/565405/
最近のマイナンバー制度関連の政府の取組みを整理。新IT戦略では、自治体の法定受託事務に関わるシステムについては、これまでの個別の開発・運用を改める方針を初めて示したと。

社会保障・税番号制度 よくある質問(FAQ)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/index.html
平成26年6月16日にマイナンバー制度のFAQを更新。かなり充実しましたね。総論、個人番号、個人番号カード、民間事業者における取扱い、個人情報の保護、マイ・ポータル、今後のスケジュール、法人番号など。

社会保障制度改革推進会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/
法律の施行に合わせて平成26年6月12日にホームページを立ち上げ。持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(第18条等)を根拠とする、内閣に置かれる会議で、持続可能な社会保障制度の総合的な検討、総理の諮問に応じた調査審議などを行います。ちなみに、社会保障制度改革国民会議は平成25年8月21日に廃止となっています。

オープンデータ、新たなインフラに 世界ICTサミット2014
http://opendata.nikkei.co.jp/article/201406101882774298/
フィオナ・ツイーディー氏(豪オープンナレッジファウンデーション共同議長)からは、「Health Hack」は医学や医療の研究者がリーダーになって行うもので、実際の課題解決を目指している。遺伝子工学の分野では、膨大なデータを扱うことになる。そこでその分析や視覚化のためにいくつかのツールも開発したと。

How to adopt an intelligent self-service and personalised citizen experience
http://www.futuregov.asia/reports/connected-government/how-adopt-intelligent-self-service-and-personalise/
最近の電子政府サービスは、知的に統合・カスタマイズされたセルフサービスになりつつあり、安かろう悪かろうの時代は終わりと考えて良いでしょう。マイナンバー制度の導入で期待されるマイ・ポータルやマイ・ガバメントが、インテリジェント・セルフサービスになれるかは、今後の戦略や運用次第でしょう。

Over 1500 Singapore e-government accounts face security breach risk
http://www.futuregov.asia/articles/2014/jun/05/over-1500-singapore-e-government-accounts-face-sec/
所得税記録や年金口座の閲覧等ができるシンガポールの電子政府アカウント「SingPass」で、1,560のユーザアカウントが不正アクセスされた可能性があると。電子政府アカウントは、他のサービスアカウントと同様に不正アクセスされる可能性があります。かと言って、使いやすさや費用対効果を犠牲にした安全性強化も本末転倒です。異常を早期に発見し、被害を最小限にする仕組みが大切と言えるでしょう。
関連>>SingPass Security Announcement
https://www.singpass.gov.sg/sppubsvc/index.html
About SingPass
https://www.singpass.gov.sg/sppubsvc/faq.html

「世界が変わらないのはエンジニアのせいでもある」堀江貴文氏がフリーエンジニアに向けて放つ5つの提言
http://engineer.typemag.jp/article/horie-mcea
「カスタマイズするな。汎用的なソリューションを世界へ」「これからはスマートフォンがカギになる」は、電子政府・電子自治体でも有効な提言です。
関連>>ネットビジネスの主軸は「Webサイト」から「スマホアプリ」へ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140609/562507/

独身女性が養子のベビーを育てるという選択
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/ogata/201406/536877.html
パートナーがいてもいなくても、母親になって子どもを育てたいという夢を持ち続け、一人で養子縁組に踏み切ったと。個人的には、少子化対策の観点からも、日本で養子の選択肢が広がり、社会に広く認知されるようになればと思ってました。
関連>>養子縁組の届出に関する取扱い等について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00016.html
成年同士で短期間に繰り返し行われている養子縁組など、虚偽の養子縁組の問題もあるので、制度の透明性向上は不可欠ですね。

DPCデータ出すも地獄、出さぬはもっと地獄?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201406/537113.html
結局のところ医療機関はこの先、データ提出から逃れられることはできないので、DPCデータを病院マネジメントの有用なツールとして活用した方が良いと。

医療情報を共有するソーシャルメディアの可能性
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/canceruptodate/topics/201406/537099.html
がんと診断された患者の最初の情報源はインターネットであり、アメリカでは多くの成人がソーシャルメディアを使っている。「なぜ、医療者がソーシャルメディアにかかわる必要があるか?」の答えは、「そこに患者がいるから」と。医療情報を能動的に集め、新しい医療者とのかかわり方を模索する患者を“e-patient”と呼ぶそうですが、日本でも確実に増えているでしょう。

電子レセプト請求への移行確認調査結果 平成26年2月実施
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000048885.html
電子レセプト請求への移行が猶予されている(最長で平成27年3月31日まで)全ての保険医療機関に対して、電子レセプト請求への移行又は免除・猶予措置の適用に関する意向について確認調査を実施。医科、歯科共に1割ぐらいは期限までに移行できないのかな(廃業等?)。

国のオープンデータ政策と自治体のオープンガバメントに向けた取り組み(PDF)
http://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/teiki/region/2014/ck20140603.pdf
野村総研によるレポート。国内のオープンデータ事情を簡潔に整理(9ページ)しています。自治体の取り組みも紹介。

「SAQ2(サクサク) JAPAN Project」の公表
〜訪日外国人のICT利用環境整備に向けたアクションプラン〜
平成26年6月12日 総務省
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000260.html
訪日外国人が我が国の世界最高水準のICTを「サクサク」利用できるよう、選べて(Selectable)、使いやすく(Accessible)、高品質な(Quality)、ICT利用環境を実現することを目指したアクションプラン。無料Wi-Fiの整備促進と利用円滑化、国内発行SIMへの差し替え等によるスマートフォン・携帯電話利用の円滑化、国際ローミング料金の低廉化、「言葉の壁」をなくす「グローバルコミュニケーション計画」の推進など。外国人向けも大切ですが、まずは国内のSIMフリー携帯を増やして欲しい。

会津若松市におけるICT街づくり推進事業の取組について
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict-town/02tsushin01_03000261.html
ICT街づくり推進会議地域懇談会@東北(福島)より。健康・福祉分野の取組では、健康福祉・予防医療(PHR)とヘルスケアプロジェクト実現に向けた情報基盤を提案。
現状、医療機関および市役所で個別管理されていた関連データを、「市民自身の情報としてまとめ、自身の手元に取り戻し」、「これら健康情報を自身の人生(ライフ)に役立てていただく」ことで自立的な健康管理を支援する仕組みを実現すると。  

  「インターネットと通信の秘密」第2期研究会の報告書
https://www.iisec.ac.jp/news/20140612soc.html
「通信の秘密」の根拠は、プライバシー保護の一環だとする考え方が一般的であるが、プライバシー保護のあり方については、国ごとに歴史的・文化的な差があるため、保護の仕方や範囲などに微妙な差が生じている。米国・英国・オーストラリアという英米法系の国と、ドイツ・フランスという大陸法系の国、さらに隣国である韓国を加えて、それぞれの国ごとの実情を調査するとともに横断比較を行なって、わが国への教訓を探ると。
プライバシーの考え方については、人格権重視のEU型、市場における契約重視のアメリカ型、情報の授受当事者間の関係重視のイギリス型があると。

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